
こんにちは、そーちゃんです。
最近、俳優の東出さんが出演しているYouTubeの影響もあってか、世間で『ジビエ料理』が広く認知されるようになってきました。
私自身、友人がハンターをしているのもあって、鹿や猪、熊などのジビエ肉を口にすることが多いのですが、どのジビエ肉も個性があって本当に美味しいんですよね。
しかし最近、別の友人と外来種駆除のために川に罠を仕掛けたところ、食べたことのない面白い生き物がかかっていたので、『これも一種のジビエか!』と思い食べてみることに!
その生き物とは、日本で”トップレベルに危険な外来種”である『カミツキガメ』というカメ!
ということで今回は、『カミツキガメを食べてみた!』というテーマで、彼らの外来種としての危険度と、実際に食べてみた感想を皆さんにお伝えしていきたいと思います。
初めにお伝えしておきますが、カミツキガメはフランスでは高級食材として扱われるほど、”大変美味しい食材”として有名なんですよ!
記事の前半は『カミツキガメの基本情報や外来種としての脅威』、後半は『調理工程と味の感想』と、二部構成でお話ししていきます。
※記事の後半に、カミツキガメを捌いている、少しグロテスクな画像が載っています。苦手な方はブラウザバックしてくださいね。
気になる方は是非、最後まで見ていってください!
カミツキガメってどんな生き物?

皆さんは、カミツキガメがどんな生き物か知っていますか?
きっと多くの人が、漠然と『危険な外来種である』ということしか知らないのではないでしょうか。
ということで、まずはカミツキガメの生態や日本における脅威について、皆さんにも分かりやすくお伝えしていこうと思います。
項目 | 内容 |
---|---|
学名 | Chelydra serpentina |
分布 | 北アメリカ(カナダ~メキシコ北部) |
体長 | 30〜50cm(最大で60cm以上) |
体重 | 10〜30kg |
特徴 | 首が長く、鋭いクチバシ状の口。尾はワニのように長い |
食性 | 雑食(魚、カエル、水鳥、小型哺乳類、水草など) |
寿命 | 野生で30〜40年、飼育下で50年以上 |
危険性 | 強力な噛む力、攻撃性が強い |
法規制 | 日本では特定外来生物に指定され、飼育・放流・輸入は禁止 |
カミツキガメは大型で凶暴なカメ!

カミツキガメは北アメリカを主な生息地としている、最大で”甲長60cm・体重35kg”にも達する大型の水棲カメです。
彼らは成体になるまでの間のみ、自然界にも天敵が存在していますが、成体になったカミツキガメにはもはや敵はおらず、北アメリカの生態系のトップ層に君臨する”無敵の存在”となっています。
カミツキガメの特徴は、”長い首”と”鋭いクチバシ状の口”で、私たち日本人の常識から”完全に逸脱したビジュアル”といえるでしょう。
その姿は、まるで大怪獣『ガメラ』のよう!
また、彼らは見た目に違わず、”圧倒的な凶暴性”を持った生き物で、特に陸上では警戒心を露わにして威嚇をし、首が伸ばせる位置にいる敵には”躊躇なく”噛み付くことで知られています。
さらに、カミツキガメの噛み付く力も半端ではなく、その力は”犬に匹敵するほど”!
こんな生き物が、日本の河川に生息していると考えると恐ろしいですよね…
カミツキガメは雑食!ゆえに外来種としての危険度MAX…

カミツキガメは北アメリカ原産の生き物ということで、最初から日本に生息していたわけではありません。
では何故、カミツキガメが日本で繁殖してしまい、今こうして大問題になっているのでしょうか。
そもそも、カミツキガメは主に観賞用として1970年代以降に日本に輸入されてきたのですが、飼育している人の多くが、”想像を超えた大きさ”に成長するカミツキガメに”手が負えなくなって”しまい、どうしようもなくなって野外に放流してしまったのが、彼らの外来種問題のキッカケです。
勝手に日本に連れてこられ、無責任に放流されて、挙げ句の果てに”外来種問題の槍玉に挙げられる”という結末になってしまったカミツキガメは、”不憫・気の毒”としか言いようがありません。
ただ、そんなカミツキガメの外来種としての危険度を押し上げてしまった要因は、彼らの『圧倒的な雑食性』にあります。
なんとカミツキガメは、水中に生息している”あらゆる生き物や植物”が捕食対象となっており、魚やカエル、水生昆虫など、さまざまな獲物をエサとして生活しているんです。
さらに驚くべきは『カミツキガメは爬虫類・鳥類・哺乳類も捕食対象』であるということ!
正直、私たち日本人の”カメの常識”からは、あまりにもかけ離れた食性をしていますよね…
そのため、日本でもありとあらゆる在来種が、カミツキガメによって捕食されてしまい、本来の生態系に大きすぎる影響を及ぼしているんです。
カミツキガメの”日本の在来種とはかけ離れたサイズ感”と”圧倒的な捕食対象の広さ”は、例えるなら『日本の少年野球団に”大谷翔平”が来る』くらいの理不尽さがあります。
そりゃ大問題にもなるわけです。
カミツキガメってどうやって捕獲するの?

カミツキガメは、普段見られるような『ミシシッピアカミミガメ』や『クサガメ』などとは違い、基本的には”網などでガサガサして捕まえる”ということは難しいです。
理由としては、あまりにも体が大きく、水中での機動力も高いため、そもそも市販の網には”入らないor入っても逃げられてしまう”ことが挙げられます。
では、どうやって捕まえるのか?
実は、カミツキガメを捕獲するのに最も有効な手段は『罠(わな)』を使用することなんです。
『罠』と聞くとハードルが高いと感じる方も多いと思いますが、釣具屋や通販サイトで購入できるような”カニカゴ”と呼ばれる罠でも、カミツキガメを捕獲することができます。
ただし、カミツキガメを捕獲する際には以下の点に注意しなければなりません。
・カミツキガメは特定外来生物に指定されているので”生きたまま”の移動及び、飼育は法律で禁止されている。
・非常に気性が荒く、噛まれると指が切断される恐れもあるため、『フィッシュグリップ』などを使用する必要がある。
特に、一つ目の注意点の『カミツキガメは特定外来生物に指定されている』ということは絶対に留意しておく必要があり、『飼育は当然禁止、生きたままの移動も禁止』と法律にて定められているため、必ず遵守するようにしましょう。
この法律を破った場合は、以下の通りの罰則が課されます。
違反内容 | 罰則 |
---|---|
無許可で飼育・譲渡・輸入・放流 | 個人:3年以下の懲役または300万円以下の罰金法人:1億円以下の罰金 |
許可条件の不遵守 | 1年以下の懲役または100万円以下の罰金 |
虚偽申請や報告拒否 | 6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金 |
また、カミツキガメを捕獲した場合は”素手で触ることは避け、持ち上げる際はフィッシュグリップを使用する”というのも忘れてはならないポイント!
カミツキガメは非常に気性が荒く、噛み付く力も”犬並みに”強いため、無闇に触ったり持ち上げようとせず、釣りに用いられるような『フィッシュグリップ』を使って、慎重に持ち上げるようにしましょう。
ちなみに今回は、仕掛けたカニカゴの中にカミツキガメが2匹いたため、フィッシュグリップを使用して首を引き摺り出し、首をナイフで切断することで命を断ってから調理場へと移動しました。
また、カミツキガメを美味しく食べる場合は、釣った魚などと同様に、その場で”水に晒して血抜きを行う”ということを忘れずに!
カミツキガメってどうやって捌くの?

カミツキガメを捌くときは、基本的には魚と同じように『身を切り開いて、内臓を傷つけないように取り出し、可食部を身から取り外していく』という順序を辿っていきます。
しかし、カミツキガメなどのカメ類の場合は身体に甲羅がついているため、捌くためには『腹甲(ふっこう)』と呼ばれるお腹の甲羅を外す工程が必要です。
ただ、カミツキガメの腹甲を外すのは非常に簡単!
カミツキガメの腹甲は、他のミシシッピアカミミガメなどと比較すると”非常に面積が小さい”ため、キッチンバサミや包丁などで、簡単に身から切り離すことできるんです。
では、カミツキガメを捌く工程について、写真を交えて順番に解説していきます。
1.腹甲を”肉と背中の甲羅”から取り外していく

まず、カミツキガメをひっくり返して、腹甲にくっついている皮を”腹甲のラインに沿って”切断していきます。
皮を腹甲に沿って切断するときは、包丁やキッチンバサミを使うことがおすすめです。
また、切断しているときに勢い余って内臓を傷つけてしまわないように、力加減は抑えめにして慎重に捌いていきましょう。
また、背中の甲羅と復興がくっついている箇所があるため、キッチンバサミなどでゴリゴリと切断してみてください。
腹甲を皮から切り離す際は、腹甲の裏についている肉も取り外していくと、綺麗に甲羅部分だけが取り外せますよ!
2.内臓を可食部と甲羅から取り外す。

カミツキガメの腹甲を取り外すことができたら、次に内臓を背中の甲羅とお肉たちから切り離していきます。
内臓を外す際に気をつけることとしては、『とにかく内臓を傷つけない』ということ。
内臓を傷つけてしまうと、内臓の内容物が可食部の肉に付着してしまい、お肉が劣化してしまうことがあるため要注意!
特に、胃や腸、腎臓、膀胱などを傷つけてしまうと、強烈な悪臭がお肉に付いてしまって、せっかくの美味しいお肉が台無しになってしまうので、本当に気をつけてくださいね(笑)
この辺の内臓を傷つけないように気を付けるということに関しては、魚を捌くときや他の生き物を捌くときにも応用できるので、たくさん生き物を捌いて感覚を覚えていきましょう。
ちなみに、カミツキガメの肝臓は食べることができるので、見つけられた方はぜひ食べてみてくださいね。
3.肉を部位に分けて切り離していく。

ここまで来たら、あとは可食部であるお肉を甲羅から切り離していくだけです。
カミツキガメは、他のカメ(ミシシッピアカミミガメ、クサガメなど)と違って、可食部であるお肉が非常に多く、部位としては『首・前脚×2・後脚×2・尻尾』の計6箇所を食べることができます。
甲羅から肉を切り離す際の注意点ですが、カミツキガメのお肉は非常に弾力性があるため、なかなか切り離しづらいことがあります。
勢い余って手を切ってしまわないように、慎重に切り離していきましょう。
また、尻尾を切り離す際ですが、尻尾の付近には膀胱と腸が通っているため、それらを傷つけてしまうと内容物がお肉に付着してしまい、まずいお肉が出来上がってしまいます。
尻尾を切り離す際には、最大限に注意しながら作業を行なってくださいね!
4.お肉を湯引きして、薄皮を取り除こう!

最後は、カミツキガメのお肉をさらに美味しくいただくための下処理をしていきます。
その下処理とは、カミツキガメのお肉の表面に付着している”薄い膜(薄皮)”を剥がすこと!
この薄皮には、これまでカミツキガメが生きていく上で付着した汚れや臭いが染み付いています。
薄皮を剥がすか剥がさないかでは、出来上がったお肉の美味しさが全然違うので、面倒がらずにやっておきましょう。
カミツキガメの薄皮を剥がすには、まず部位ごとに切り離したお肉を沸騰したお湯に30秒ほど浸けて、お肉を引き上げてから、まだ温かいうちに爪や包丁の刃などで薄皮を剥がしていきます。
薄皮が綺麗に剥がれたときは、めちゃめちゃ快感を味わえるので、楽しみながらやってみてくださいね(笑)
ここまで来たら、あとは調理していきましょう!
カミツキガメは唐揚げが大正義!

今回、私たちはカミツキガメを2匹捕まえたので、『唐揚げ』と『野菜炒め』にしていただいてみました。
結論から言うと、カミツキガメを食べる際は『唐揚げ』にするのが一番オススメです!
カミツキガメの唐揚げを作る際は、鳥や魚と同じように、小さめにカットして唐揚げ粉をまぶして油で揚げるだけ!
カミツキガメは、とにかく可食部であるお肉が多くとれて、その弾力も味もしっかりしているため、唐揚げにすると”素材の味と食感”がダイレクトに感じられて、めちゃくちゃ美味しいんですよね。
味の感想としては
『味の濃い、弾力に溢れた鶏肉。鶏肉に川魚の風味と食感を足したような感覚。食べ応えは抜群!』
といった感じです!
以前、ミシシッピアカミミガメをいただいたことがあるのですが、味はよく似ていており、でも肉の量と弾力、味の濃さが全然違うなといった印象でした。
カミツキガメは、フランスでは高級食材として扱われることもあるくらい、実は名の知れた食材ということもあり、非常に美味しかったです。

ちなみに、野菜炒めと肝焼きも試してみたのですが、野菜炒めはカミツキガメらしい良さがあまり感じられず、良くも悪くも普通の”肉野菜炒め”といった感じ。
肝焼きは、めちゃくちゃ濃厚で『酒のつまみにはピッタリ』といった味がしましたが、濃厚すぎて3口食べたところで『もういいや…』となってしまいました(笑)
まだまだ、カミツキガメの料理開拓は奥が深そうです。
まとめ

カミツキガメは特定外来生物として、少し悪名高い印象が付いてしまっていますが、彼らは罪がないどころか、人間のエゴで勝手に悪者にされた”不憫”な生き物です。
私自身、外来種駆除活動をしていますが、奪ってしまった罪のない命に対しては敬意を払い、なるべく食べてあげることで、彼らの命を奪うことを正当化している節があります。
もちろん、日本の生態系を守るという観点において、カミツキガメは外来種として駆除しなければならない対象ではありますが、私たち人間の『生き物に対する考えの甘さ』が根本的な問題であることを忘れてはなりません。
今回、カミツキガメはとても美味しかったのですが、改めて『真剣に生き物たちと向き合おう』と思えるキッカケにもなりました。
この記事を読んで『生き物に対する考えが少しでも変わった』という方が一人でもいれば、嬉しく思います。
このサイトでは、さまざまな生き物に関する記事を取り扱っているので、よければチェックしてみてください!
それでは、また!
コメント